注文住宅で必要な「諸費用」とは?内訳と費用相場を知って家づくりをしよう!
2023年2月1日
注文住宅を建てる際は、さまざまな諸費用が発生します。
諸費用と聞くとそれほど高額なイメージを持たないかもしれませんが、注文住宅では諸費用だけで数百万円ほどかかることもあり、きちんと予算取りしておく必要があります。
そこで今回は、
- 注文住宅で必要な「諸費用」とは
- 注文住宅の諸費用の費用相場
- 注文住宅で必要な諸費用の内訳
- 諸費用を節約するためのポイント
などを解説します。諸費用について基礎知識をもとに無理のない資金計画を立てたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
注文住宅で必要な「諸費用」とは?
結婚や出産を機に、マイホームを建てたいと考える方も多いでしょう。一口にマイホームといってもさまざまな選択肢があり、自由度の高さやライフスタイルにあった空間を追求できる注文住宅は人気の選択肢の一つです。
ただ、マイホーム計画を進める際、将来を見据えた資金計画を立てておくことが大切であり、「諸費用」についての知識を持っておく必要があるでしょう。
諸費用とは、土地や建物本体以外に付随してかかるコストのことであり、代表的な諸費用としては以下のようなものが挙げられます。
- 土地購入の際、不動産仲介業者に対して支払う仲介手料
- 登記費用
- 印紙税
- 解体費用
諸費用の金額や支払うタイミングは状況によって異なりますが、かといって諸費用をかけずに注文住宅を購入することはできません。また、諸費用は住宅ローンに組み込めないことがあるため、いつ・いくらの諸費用が必要なのかを認識したうえで資金計画を進める必要があります。
注文住宅の諸費用の費用相場
注文住宅にかかる諸費用はケースによって異なりますが、一般的に土地購入代金と建物本体価格を合計した総額の10~12%が相場だと言われています。
たとえば、2,000万円の土地と3,000万円の住宅を建てる場合は総額5,000万円になるため、500~600万円前後の諸費用がかかると予想できます。
つまり、諸費用といっても決して安くない金額がかかるため、5,000万円をトータル予算とする場合、諸費用を想定して土地購入代金+建物本体価格の総額は4,500万円程度に抑える必要があるのです。
ただ、こちらの諸費用はあくまで目安です。たとえば、すでに土地を所有している場合、仲介手数料が不要になって諸費用を抑えられます。反対に、古い物件の解体や仮住まいが必要になったり、家具・家電を一式新調したりするとさらに高額になることもあるでしょう。
注文住宅で必要な「諸費用」の内訳
では、実際にどのような諸費用が発生するのは詳しく解説します。
なお、注文住宅にかかる諸費用は、以下の4つに分類できます。
- 土地関連の諸費用
- 建物関連の諸費用
- 住宅ローン関連の諸費用
- その他の諸費用
土地関連の諸費用
土地の購入にかかる諸費用は、仲介手数料や登記費用、必要であれば解体費用がかかることに加え、印紙税や固定資産税、都市計画税などの税金も発生します。
諸費用 | 内容 | 費用 |
仲介手数料 | 土地を契約するまでに、売主と買主の間に入って金額調整や契約などのサポートをしてくれた不動産仲介業者に対して払う手数料 | (物件価格×3%)+6万円+消費税10% ※売買価格400万円超の場合 |
登記費用 | 土地を購入した際、所有権が移転したことを法的に示す所有権移転登記にかかる費用 | 土地の評価額×1.5% ※2023年3月31日までの軽減措置を適用する場合 ※司法書士などに依頼する場合、報酬としてさらに十数万円かかるのが一般的 |
解体費用 | 古屋を撤去するための費用 | 150~300万円程度 |
印紙税 | 土地の売買契約書に貼る印紙代 | 1,000万〜5,000万円の土地:1万円 5,000万円~1億円の土地:3万円 ※2024年3月31日までの軽減措置を適用する場合 |
固定資産税 都市計画税 |
土地などの所有する固定資産に対して課せられる税金 | 土地の評価額×1/2×3% ※2024年3月31日までの軽減措置を適用する場合 |
土地の仲介手数料ですが、売買価格によって金額が変わります。
売買価格200万円以下の場合:物件価格×5%×1.1(消費税)
売買価格200~400万円の場合:(物件価格×4%+2万円)×1.1(消費税)
なお、登記費用や印紙税、固定資産税は、軽減措置があり適用期間が決められています。いつまで適用されるのか確認しておくようにしましょう。
建物関連の諸費用
ここでは、建物関連の諸費用を解説します。
諸費用 | 内容 | 費用 |
敷地調査 測量費用 | 敷地にかかる法規制を調べたり、正確な形状や面積を把握したりする調査にかかる費用 | 10万円程度 |
地盤調査費 | 建物の建築前に、地盤の状態を確認する調査にかかる費用 | 5~30万円程度 ※調査の種類によって相場が異なる |
地盤補強費 | 地盤調査に結果、地盤に問題ありと判断された場合、建物の地盤沈下を防ぐために実施される工事費用 | 100~300万円程度 |
水道加入金 | 水道を引き込むときにかかる費用 | 2万〜66万円程度 |
上下水道・ガス引込費用 | 水道管を引き込んだり、ガスを使用できる状態にしたりするのにかかる費用 | 上下水道の引込:60万~100万円 都市ガスの引込:20万円程度 |
地鎮祭費用 | 土地の神様に挨拶をして鎮め、土地をつかうことの許しを得て、工事の無事とその後の生活の安泰を祈願する儀式の費用 | 5万円程度 |
建築確認申請費 | 建築確認の調査、申請にかかる費用 | 10万円程度 |
印紙税 | 建設工事請負契約書に貼る印紙代 | 1,000万〜5,000万円の土地:1万円 5,000万円~1億円の土地:3万円 ※2024年3月31日までの軽減措置を適用する場合 |
登記費用 | 建物の所有権を登記するのにかかる費用 ・建物表題登記 ・所有権保存登記 | 土地の評価額×1.5% ※2023年3月31日までの軽減措置を適用する場合 ※司法書士などに依頼する場合、報酬としてさらに十数万円かかるのが一般的 |
地盤補強費ですが、調査の結果問題ないと判断されれば地盤補強費は発生しません。一方、地盤補強が必要だった場合、100~300万円程度の工事費がかかります。どのような規模の工事か、建物の大きさや重さによっても必要な費用が変わるため、地盤補強費がかかると見込んで資金計画を立てておくのがポイントです。
また、地鎮祭はあくまで任意のため、実施しないケースもあります。
住宅ローン関連の諸費用
注文住宅を購入する際、住宅ローンを利用して購入する方が大半でしょう。ただし、住宅ローンを利用するときも諸費用が発生します。
諸費用 | 内容 | 費用 |
保証料 | 住宅ローンの保証会社に対して払う費用 | 融資額1,000万円に対し20万円程度 |
抵当権設定登記費用 | 住宅ローンを組む際、土地と建物を担保にするのが一般的です。その際、法務局で「抵当権設定登記するのに必要な費用 | 借入額×1% ※2022年3月31日までの軽減特例が適用される場合 |
事務手数料 | 住宅ローンの手続きを進める際、金融機関に対して支払う手数料 | 融資額の2%程度または3~10万円程度 |
つなぎ融資事務手数料 | つなぎ融資を利用する場合、金融機関に対して支払う手数料 | 10万円程度 |
火災保険料 | 火災保険加入時に必要な費用 | 7~20万円程度 ※加入期間5年を想定 |
地震保険料 | 地震保険加入時に必要な費用 | 1,000万円あたり5万円程度 |
団体生命保険料 | 団体生命保険加入時に必要な費用 | ローンの金利に含まれるケースが一般的 |
金融機関によって保証料や事務手数料に差があるため、金融機関ごとにかかる諸費用や金利を比較し、最適なプランを検討しましょう。
火災保険は建物の構造や居住環境、さらに保証内容や年払いか一括払いかなどで費用が変わります。
また、地震保険は耐震等級3を取得している、品確法の住宅性能評価において免振建築物と認定されているなどの条件をクリアすれば、最大50%の割引を受けられます。なお、地震保険はどこの保険会社でも保険料が同じであるため、安い保険会社を探す必要はありません。
その他の諸費用
ここまで解説した諸費用で、数の多さに驚いた方も多いのではないでしょうか。しかし、これまでに紹介した諸費用に加え、さらに以下の諸費用がかかります。
諸費用 | 費用 |
引っ越し費用 | 10~20万円程度 |
家具・家電の購入費 | 100万円程度 |
仮住まい費用 | 80~120万円程度 |
まず、引っ越し費用はほとんどの方が必要な費用といえます。土日や繁忙期は割高になる傾向にあるため、可能であれば平日の閑散期に行うとよいでしょう。
また、せっかく新築の住まいになるからといって、家具・家電をまとめて新調したいと考えている方も多いのではないでしょうか。既存の家具・家電を一切持ち込まない場合、100万円以上の出費になるでしょう。ただ、現状使用しているものを持ち込めば、大きくコストカットできます。
そのほか、建て替えの場合は仮住まいが必要になります。エリアや期間にもよりますが、80~120万円程度を見込んでおきましょう。
注文住宅でかかる諸費用を節約するためのポイント
諸費用といっても、かなり高額な費用が必要であるとわかったのではないでしょうか。
しかし、ポイントを押さえておくことで、諸費用を節約することも可能です。ここでは、諸費用を節約するためのポイントを5つ紹介します。
税金の優遇制度を活用する
諸費用を極力安くするためのポイントの一つは、税金の優遇制度を活用することです。
建物や土地にかかる固定資産税や都市計画税、印紙税などは、優遇制度が設けられています。どのような条件で適用されるのか、さらに期間はいつまでかを確認して有効活用しましょう。
ただ、優遇制度の条件は複雑でわかりにくいため、少しでも疑問を感じたらハウスメーカーの担当者に相談したり、ハウスメーカーからファイナンシャルプランナーを紹介してもらったりして、専門家に相談するのがおすすめです。
仲介手数料の不要な土地を検討する
注文住宅を検討している方の中には、土地探しからスタートする方も多いでしょう。土地を購入するときは不動産業者に仲介手数料を支払わなければならないイメージが強いかもしれませんが、場合によっては仲介手数料がかからないケースもあります。
たとえば、ハウスメーカー所有の土地を購入する場合などは、仲介手数料がかからない可能性があるのです。
また、すでに上下水道の引込が完了している土地なども、コスト削減につながります。
諸費用は必ず発生するものと、そうでないものがあります。土地購入でどのような諸費用が発生するのか事前に調べておくと、節約できるポイントを見つけられるのでおすすめです。
火災保険を慎重に検討する
住宅ローンを契約する際、ほとんどの金融機関で加入が義務付けられていまが、保証内容をきちんと確認することが重要です。
ハウスメーカーの担当者から提携の火災保険を紹介されるケースが多く、勧められるまま加入する方も多いのではないでしょうか。
しかし、同等の保証内容でも、紹介された火災保険より安いところが見つかることもあります。さらに、火災保険にはさまざまな種類があり、補償内容が手厚くなるほど保険料が高額になるのが基本です。
本当に必要な保障内容かどうかを考え、さらに複数の保険会社の見積もりを比較することで保険料を節約できます。
住宅ローンを組むときは複数の金融機関を比較する
保険会社を比較するのと同様に、住宅ローンを組む金融機関も比較し、結果を見比べることが大切です。
というのも、同じ借入額でも審査内容によって結果が大きく変わるからです。
たとえば、A社は金利が安いものの手数料や保証料が高額なケースがあり、B社は金利がやや高い反面、手数料や保証料が安いこともあるからです。さらに、団体生命保険が付いているかどうかも確認すべきポイントでしょう。
ただ、住宅ローンは諸費用を意識することも大切ですが、目先の金額だけにとらわれないことも大切です。「諸費用が安い金融機関を選んだら、金利が高くて総返済額が高かった」といった失敗例が多くあるため、将来を見据えて検討する必要があります。
金利はたった0.1%の差でも将来的に大きな金額差を生むため、ローンを組むときにかかる初期費用と、総返済額をトータルして比較するようにしましょう。
可能なことは自分でする
家づくりはわからないことが多いため、つい業者に任せっきりになってしまうものでしょう。しかし、積極的に情報収集し、可能なことは自分で行うことで諸費用を抑えられます。
たとえば、ちゃんとした地鎮祭が不要なら、自分たちだけで簡易に実施することも可能です。その場合、5万円程度かかる地鎮祭を数千円~2万円程度に抑えられるでしょう。
また、加入する保険や住宅ローンなども、本当に自分のライフスタイルに合っているのか、過度な補償内容になっていないかなどを自分で比較検討することが大切です。よりよいプランを見つけられる可能性があることに加え、費用削減にもつながります。
まとめ
今回は注文住宅にかかる諸費用について解説しました。
注文住宅では、土地購入代金と建物本体価格を合計した総額の10~12%が諸費用の相場だと言われています。総額が5,000万円なら500~600万円の諸費用がかかると予想できるでしょう。
諸費用といっても決して安いものではないため、諸費用を含めたうえで、資金計画を立てるのがポイントになります。ただ、諸費用はあくまで目安のため、さらに高額になることもあれば、工夫して抑えることも可能です。
諸費用をできるだけ安く抑えるなら、仲介手数料の不要な土地を検討する、火災保険の内容が適切な確認するなどの工夫がおすすめです。 ぜひ今回の記事を参考に、諸費用を含めて余裕ある資金計画を立ててみてください。