新築平屋にかかる費用相場はいくら?費用を左右するポイントや注意点を解説
2023年7月22日
1階建ての住宅である平屋は、縦移動が不要なので生活動線がスムーズであることなどが魅力であり、近年とくに人気が高まっています。
しかし、平屋は建築費用が高くなりがちなので、憧れはあるものの「いくらで建てられるの?」と不安に感じている方も多いでしょう。
そこで今回は、平屋の建築費用の相場や割高になると言われる理由、価格を左右するポイントなどを解説します。マイホームの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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2階建てにはない!平屋だけのメリット・デメリット
そもそも平屋とは、1階建ての住宅で階段がありません。そのため、LDKやお風呂、トイレ、寝室、子ども部屋などのすべてのスペースがワンフロアに集約されています。
縦移動がないことが2・3階建ての住まいとの大きな違いであり、それに伴い平屋にしかないメリットやデメリットがあります。平屋ならではのメリットとデメリットについて、具体的にみていきましょう。
平屋のメリット
まずは平屋のメリットを解説します。
家事・生活動線がスムーズ
平屋は階段がなく縦移動が不要なので、生活に必要なすべてのスペースがワンフロアにまとまっています。
そのため、家事・生活動線がスムーズに完結するのがメリットの一つです。たとえば、1階で洗濯した衣服を2階のベランダに持って上がって干す、掃除機を持って階段を上り下りするといったストレスのかかる動きが不要になります。
階段がなくバリアフリーの住まいにできる
平屋は階段がないので転落して怪我をするリスクがなく、バリアフリー住宅にしやすいのもメリットです。
家中に段差をなくせばつまずいて転ぶリスクを軽減でき、部屋と部屋の距離も近くなります。子どもやペット、お年寄りなど、すべての人にとって生活しやすい住まいになるでしょう。
家族とコミュニケーションが取りやすい
すべての場所がワンフロアにまとまっているので、家族がリビングに集まっていなくても気配を感じやすいことも魅力です。
たとえば、2階・3階に子ども部屋がある家では、子どもが帰宅しても顔を合わすことなくい部屋にこもってしまう、部屋にいるのかわからないといった状況になるケースも少なくありません。しかし、平屋なら家族がどこにいるのか気配を感じやすく、つながりを感じやすい住まいにできます。
構造的に安定しやすく、耐震性が高い
日本は地震大国であり、耐震性の高さを気にされる方も多いでしょう。平屋は耐震性が高い住まいを実現しやすいこともメリットです。
というのも、建物は高さがあると地震の揺れが伝わりやすくなり、建物に負荷がかかります。しかし、平屋なら上の階を支える必要がなく、高さがないので地震が起きても揺れにくく耐震性の高い住まいを実現可能です。
平屋のデメリット
2・3階建ての住まいにはない魅力が多くある平屋ですが、デメリットもあります。
採光や風通しを確保しにくいことがある
周囲にマンションやビル、2階建て以上の建物などがあるエリアに平屋を建てる場合、採光や日当たりが確保しにくい住まいになることがあります。
「自然光が差し込む開放的なリビングにしたい」と考えていても、平屋では周囲の状況によって実現しにくくなるのがデメリットです。
家族間のプライバシー確保がむずかしい
平屋は顔を合わせていなくても家族とのつながりを感じやすいことがメリットであると解説しましたが、一方でデメリットになることもあります。
間取りによりますが、常に家族が近くにいる生活環境になるため、友人と電話するときに家族に聞かれているような感覚になったり、子どもが部屋で宿題をするときにリビングのテレビ音や会話が気になったりすることがあるでしょう。
水害時の浸水リスクがある
平屋は洪水などの水害が発生したときに、上の階に避難する手段がありません。
そのため、水害が起きそうなときは自宅ではなく避難場所に逃げる必要があるでしょう。また、床上浸水が発生した場合、2階建て以上の住宅なら一時的に家具や家電を上の階に移動させて被害を最小限に抑えられますが、平屋はすべての家財が被害に遭うリスクがあります。
建築費用が高くなりやすい
後ほど詳しく解説しますが、平屋は2階建ての住宅に比べて建築費用が高くなりがちです。
平屋を建てるには広い土地が必要であったり、建物自体の値段が割高になりやすかったりとさまざまな理由がありますが、平屋を建てたくても予算が合わないことがあるのはデメリットといえるでしょう。
平屋の建築費用は2階建てより割高って本当?費用が高くなる理由と差額とは
「平屋を建てるのはお金がかかる」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際に同じ広さ、仕様の平屋と2階建てを比較してみると、平屋の方が高くなりがりです。ではなぜ平屋を建てるのにお金がかかるのか、理由を見ていきましょう。
広い土地が必要になる
平屋を建てるには、2階建ての家を比較して広い土地が必要になります。
たとえば、建ぺい率50%の地域に約30坪(99㎡)の住宅を建てる場合、平屋は60坪(198㎡)以上の土地が必要になります。一方、同条件で総二階の家を建てるなら、建物の大きさがワンフロアあたり約15坪(49.5㎡)になるので、必要な土地の広さ30坪(99㎡)で済みます。
このように、同じ30坪の住宅でも、平屋と2階建て以上の住宅では必要な土地の大きさが変わるので、ある程度大きな土地が必要になる平屋はコストが高くなります。
建築費用の高い基礎や屋根の面積が多くなる
平屋は2階建ての住宅と比較して、建物にかかる費用も高くなりがちです。
というのも、住宅の建築費用の中でとくに費用がかかるのが基礎工事と屋根工事であり、平屋は同じ延べ床面積の総2階の家と比較して約2倍の基礎と屋根が必要だからです。必要な材料が2倍になるうえに、施工面積も2倍になるのでコストが増えます。
また、地盤補強が必要になった場合、基礎面積が大きい平屋は数百万円を超える追加費用が発生するケースも珍しくありません。
外壁にかかる費用は差がない
基礎工事や屋根工事の面積が2倍になるコストアップしやすい平屋ですが、外壁の面積は2階建ての家に比べて小さくなります。しかし、外壁の面積が小さくなるとはいえ、水切りなど必要な金物が増える部分もあるのでコストについては変わりません。
2階建ての家よりもコストダウンできる部分もある
平屋はバルコニーや階段が不要なので、コストダウンにつながる点もあります。とくに、階段が不要になれば、階段にかかる施工費や材料費をカットできることに加え、延べ床面積の節約になります。
階段は1.5坪程度のスペースが必要になるので、坪単価60万円とすると階段のスペースを確保するのに90万円ほどかかっている計算になります。平屋ならその費用が自然にカットできるため、必ずしもコストアップになるわけではないといえるでしょう。
平屋と2階建ての建築費の差
平屋は階段やバルコニーにかかる費用が節約できるため、同条件の2階建ての家を建てるときと比較してプラスの費用だけがかかるわけではありません。
しかし、建築費の中で大きなウエイトを占める屋根工事と基礎工事にかかる費用が増えるため、結果的に割高になりがちです。具体的には1~2割程度高くなる傾向にあります。
シンプルな間取りにする、設備のグレードを落とすといった工夫でコストダウンできるケースもありますが、平屋が高いと言われるのは基礎や屋根工事にかかる費用が高いからだといえるでしょう。
平屋の建築費用相場
新築で平屋を建てる場合、具体的にいくらの本体工事費がかかるのか見ていきましょう。
家を建てるのに必要な金額は「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つに大別でき、土地を購入する場合は土地代も必要です。
項目 | 割合 | 内容 |
本体工事費 | 70% | 家を建てるのに必要な工事費用 |
付帯工事費 | 20% | 建物以外にかかる工事費用(水道・ガスの引込代など) |
諸費用 | 10% | 申請手続きや税金にかかる費用 |
なお、家づくりにかかる諸費用については以下の記事で詳しく解説しています。
→注文住宅で必要な「諸費用」とは?内訳と費用相場を知って家づくりをしよう!
今回は、本体工事費の坪単価を目安に、新築で平屋を建てるときの費用相場を解説します。
【1LDK~2LDK】新築平屋の費用相場
単身、もしくは夫婦で暮らす平屋の場合、1LDKや2LDKといった大きさの住まいにすることもあるでしょう。
1LDKの場合はLDKと寝室で約15~20坪、2LDKの場合はLDKと寝室、居室が各一部屋ずつで20~25坪程度の大きさになるのが一般的でしょう。平屋の本体工事費にかかる坪単価は50~70万円程度が一般的であるため、費用相場は以下のようになります。
間取り | 延床面積 | 部屋の数 | 費用相場 |
1LDK | 15~20坪 | LDKと寝室 | 約750~1,400万円 |
2LDK | 20~25坪 | LDKと寝室、居室 | 約1,000~1,750万円 |
【3LDK~4LDK】新築平屋の費用相場
家族で暮らす平屋の場合、3LDKや4LDK、もしくはそれ以上の広さがあると暮らしやすいでしょう。
3LDKの場合はLDKと寝室、居室や2部屋で約25~30坪、4LDKの場合はLDKと寝室、居室3部屋で30~35坪程度の大きさになるのが一般的でしょう。
間取り | 延床面積 | 部屋の数 | 費用相場 |
3LDK | 25~30坪 | LDKと寝室、居室2部屋 | 約1,250~2,100万円 |
4LDK | 30~35坪 | LDKと寝室、居室3部屋 | 約1,500~2,450万円 |
3LDK以上の平屋の場合、本体工事費だけで2,000万円を超えるケースがあり、さらに諸費用や付帯工事費、土地から購入する場合は土地代もかかるので、ある程度の予算が必要になります。
ただ、ひとえに平屋といっても大きさや家の形状、仕様、設備などによって金額差が出るので、こちらの費用は参考程度にご覧ください。
平屋の建築費用が左右されやすいポイント
「平屋は2階建てよりも割高」と言われることが多いですが、階段やベランダが不要であり、コストカットできる部分もあるので一概に2階建てよりも高くなるとは言い切れません。
先に解説した通り、平屋が高いと言われるのは、屋根工事や基礎工事にかかる費用負担が大きいことと、広い土地が必要になることの2つです。しかし、ひとえに平屋といってもさまざまなポイントで費用が変動するため、どのようなポイントで金額差が生じやすいのか見ていきましょう。
建物の形
建物の形は金額差が出やすいポイントの一つです。
平屋の形は正方形や長方形、コの字方、凹凸型などがあり、建築費用を抑えやすいのは正方形と長方形です。というのも、同じ延床面積でも、家の形状を複雑にするほど必要な外壁面積や屋根材などが増えるうえに、角が多くなって工事にかかる工数が増えるからです。
とくにこだわりがない場合は、シンプルな家の形になるよう間取りを意識しましょう。
屋根の形
平屋は2階建てよりも屋根面積が大きいのでコストアップにつながりやすいことは先に解説した通りですが、屋根の形状によっても価格差が生じます。
屋根は勾配が急になるほど必要な面積が増えます。平屋の屋根は「片流れ」「寄棟」「切妻」「方形」の主に4つがあり、最も勾配が緩やかになる片流れの屋根がコスト的には安く抑えやすい形状です。
設備のグレード
平屋に限ったことではありませんが、採用する設備のグレードを上げると費用が上がります。
家づくりをしているとグレードの高い設備を知ったり、ショールームで目にしたりすることがあり、ついついよく見えて採用してしまいがちです。お風呂やトイレはもちろん、キッチンは上級グレードのモデルを選ぶと数百万円アップすることも珍しくありません。
こだわりたい設備のグレードを上げるのはよいですが、あれもこれもグレードを上げたり、オプションを追加したりすると予算オーバーになりがちです。標準的なグレードのもので十分ではないか、追加費用を支払う価値があるのか慎重に検討しましょう。
平屋を建てるときに押さえておきたい注意点
平屋にしかないメリットが多くあり、近年平屋の人気が高まっています。
しかし、すべての方にとって平屋が適しているとは言い切れないので、建ててから後悔することのないようあらかじめ検討することが大切です。ここでは、平屋を建てるときに押さえておきたい注意点を解説します。
2階建てより割高になりがち
先述している通り、平屋は同条件の2階建ての住宅を比較して、1~2割程度高くなるケースが多く、さらに広いスペースが必要になるので土地代にかかる費用も高額です。
平屋は上下移動がないのでストレスのない生活動線を実現しやすいなどのメリットがありますが、コストに見合った価値があると感じられるか慎重に考えましょう。
家は建てたらゴールではなく、建ててからがスタートです。平屋を立てても無理なく住宅ローンや固定資産税を支払えるかシミュレーションしておくことをおすすめします。
防犯やプライバシー対策を強化する必要がある
平屋は1階建ての住宅なので、リビングや寝室、お風呂などすべてのスペースがワンフロアに集中しています。
室内を移動しやすく外に出やすい平屋は、反対に外からアクセスしやすい家とも言えます。きちんと考えないまま間取りを決めてしまうと、外からの視線が気になったり、空き巣に狙われやすくなったりする可能性があります。
視線が気になりやすいところは塀や植栽で目隠しをしたり、防犯カメラや音の出る砂利を敷いたりして、防犯・プライバシー対策を考慮した家づくりをしましょう。
採光や風通しを考えておく
平屋は周囲に2階建て以上の住宅があったり、ビルやマンションがあったりすると、採光や風通しが悪くなりがちです。
太陽光パネルを設置したのに全然発電されない、日中も室内の電気を点けずにはいられないといったことで悩む可能性があるので、周辺環境を意識して方角や窓の位置を慎重に考えましょう。
浸水リスクを考慮しておく
平屋は洪水などの水害が発生したときに、上の階に避難する手段がありません。
床上浸水になれば、家財がすべて破損・故障してしまうでしょう。上に人や物を移動できない環境であることを念頭に置いて、ハザードマップを確認して水害や土砂崩れが起きにくいエリアを選択するようにしましょう。
また、万が一浸水するリスクを考え、火災保険では水災を補償する内容にしておくことをおすすめします。
まとめ
今回は、新築の平屋を建てるのにかかる費用相場や注意点などを解説しました。
平屋は生活・家事動線がワンフロアにまとまるので、快適な生活を送りやすいなどのメリットがありますが、採光や風通しを確保しにくいことがある、建築費用が高くなりやすいといったデメリットもあります。
とはいえ、平屋にしかない魅力もたくさんあるので、注意点を踏まえて対策しながら家づくりを進めれば、理想の住まいになるでしょう。
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